山形県中小企業団体中央会
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組合名山形機械工業団地協同組合(山形市)
設立昭和38年12月 組合員 20人
組織形態 工場団地組合 主な業種 電気音響機械器具製造、自動車部品製造、
金型製造、工作機械製造
出資金 6,035万円 地区 山形市
組合従業員 1人

〜縦型・省スペースの麺切断機の開発〜

組合自らが融合化事業に取り組み、得意分野の技術を持ち寄り、試行錯誤しながら中小製麺業者向けの、縦型・省スペース、低価格の麺切断機を開発した。

【組織の形成の経過、問題点と克服状況】

 その後、小型放電加工機の開発も手がけ、組合で受注・生産まで至っている。
 平成8年度、中小企業製麺業者向けの省スペース・低価格の自動麺切断機開発の構想をまとめ、平成9年度に山形県融合化促進事業の認定を受け、麺切断機の開発を目的として、融合化委員会が開発に取り組んでいる。
 平成9年度で、研究開発に目途をつけ、平成10年度には需要開拓という予定であったが、麺切断後の整列搬送機構が十分固まっていないため、引き続き改良に努めているところである。
 参加者は、トップや管理職(課長・工場長クラス)、設計担当者と、組合企業により異なっている。
 これに組合事務局長が加わって、融合化委員会を推進している。

【テーマの内容と決定の経緯】

 以前実施した融合化事業の成果である「放電加工機」の開発が、今回の事業の端緒となった。
(放電加工機は、現在、年間5〜6台の販売実績である。)
 製麺業者を訪問した際に作業工程を観察して、他の製造業に比べ手作業が多く、機械化が遅れていることを発見した。
 このような食品業界(特に中小〜零細事業所)の機械化の遅れは、マーケットとしては逆に有望であると考えて、事業に着手した。
 また、組合の存在意義、組合員との関係強化を示すためにも、融合化事業を引き続き展開することが必要と考えた。
 そして、狭い現場にあわせた省スペース・縦型の麺切断機の製品化として、事業に着手した。

【事業計画の内容及びその策定の経緯】

 麺切断機は開発着手から3年目に入り、いまだ開発途上であるが、本年度中には製品化のめどがついた。
 1年目は構想・試作の段階、2年目は問題点の研究、3年目は製品化に向けてのパッケージング等を中心に事業を展開してきた。
 毎月1回「融合化委員会」を開催している。時間は、約2時間くらい。参加者は組合員6名と組合の専務理事麺切断機のコンセプトは、縦型で省スペース、低価格であること。価格は300万円程度を予定している。
 この金額は、切断作業に従事する1人分の人件費相当の金額である。小規模な製麺業者をターゲットとしている。
 最終的には、包装工程までの一連のシステム化も念頭においている。
 縦型、切断後の処理方法に関して、特許は申請済みである。

【研究開発によって得られた成果】

 融合化の効果としては、各委員が、他の業種、技術を学ぶ機会となったことが大きい。
 技術の習得、高度化、他分野の知識の獲得を通じて、「連携という方法でモノを作り出せるという自信」、「自分で発想したモノを作れるという自信」がついたことである。
 製品に関しては、開発着手から3年目に入り、いまだ開発途上であるが、本年度には製品化のめどがついた。また、組合自らが先端的な事業に取り組むことにより、その存在意義を一般の組合員に示すことにもつながっている。

《詳細内容》

【1】構成員の概要

組合員の業種構成
  • (1)電気音響機械器具製造
  • (2)自動車部品製造
  • (3)金型製造
  • (4)工作機械製造

【2】従業員数別組合員比率

従業員数別組合員比率
雇用従業員数人0〜10人11〜50人51〜100人101〜300人300人以上
組合員比率(%)303510205

【3】資本金別組合員比率

資本金別組合員比率
資本金100万円未満101〜500万円501〜1,000万円1,001〜3,000万円3,001〜5,000万円5,001〜1億円一億円以上
組合員比率(%)55202520520

【4】研究開発の流れ

テーマの決定
 ↓
委員会の開催
 ↓
担当する部品の検討
 ↓
各自が自社に持ち帰り設計
 ↓
委員会に図面を持ち寄り検討
 ↓
製品化に向けた検討

【5】推進体制・運営体制

(1)事業推進上の運営体制

設計段階では、各部品ごとに、得意とする組合員が分担して進めた。
定例の委員会では、各委員が設計した図面を持ち寄って、全体で検討を加えた。
組合では今年度より、組合会館の物置を整理し、会場として提供した。
食品業界に対するノウハウが不足していたため、不明な点も多々あったが、委員が工夫を重ねて試行錯誤しながら進めてきた。

(2)施設・設備の状況

場所は当初は委員の社屋で行っていたが、3年目からは出入りの便を考慮して、組合会館の物置(約6坪)を使って、試作品の開発現場としている。

(3)経費の額及びその調達方法
1).経費の額
自己資金外部資金(補助金等)合計
135万円135万円270万円
2).経費の調達方法

自己資金は組合の全体予算の中から拠出した。
補助金は、年間予算の2分の1相当額を山形市から受けた。
金額は、1年目・2年目は150万円、3年目は135万円である。

【6】問題点と克服状況

苦労したのは、麺の切断後どう揃えて処理するかという部分で、結局落下させる前に押さえるという方法となった。
組合員の大半は、下請けの部品メーカーであるため、個々のパーツを作るのは得意だが、ひとつにまとめて動くものを作るのは苦手である。個々の組合員が作り出せる部品は限られているため、ないものは試行錯誤して一から作り出す必要があった。
また食品を扱う機械であるにもかかわらず、衛生面や油汚れへの配慮が不足していた。
さらに、専門的に関与する人材がいないため、開発期間が非常に長くかかったことも問題であった。
試作中の機械を見てアドバイスできる専門家がついていれば、よりスムーズに事業が進んだものと思われる。

【7】研究開発事業以外の他の事業の状況

人材高度化事業、安全衛生事業

【8】今後の取り組みと課題

商品化に向けて、業者にテストしてもらい改良を加えること、またコストダウン(販売価格の3分の1が目標)が製品化のための課題である。
製品化の後は、販路の開拓に取り組む必要がある。販路はインターネットなども活用して、全国展開を狙っている。異業種である食品製造業者との関係を深めて行くことが求められている。

【9】ポイント 要点と成果

融合化・異業種連携事業を、組合内部において実施している例は珍しい。自己資金も組合予算から拠出している。組合全体にとって融合化事業が大きな意味を有することを意識しながら、事業を展開している。

【10】活動の要点

機械化の遅れている中小・零細製麺業に的を絞った製品開発に取り組んだ。
明確な製品コンセプトをイメージし、委員が得意な分野の技術を出し合う形が基本となっている。
委員が担当する部品の設計を行い、毎月1回「融合化委員会」を開催して、検討を加えるという方法で開発を進めてきている。
本年度は3年目にあたり、製品化に向けての問題点の克服や、パッケージング等を中心に取り組んでいる。
麺の切断後どう揃えて処理するかという部分がネックであったが、どうにか解決のめどが立ち、本年度中には完成する予定である。

【11】成果と成功要因

平成11年度中には、製品化のめどがついたことが、具体的な成果である。
以前に開発した、放電加工機が販売実績を上げていることも、今回の事業を進める上での自信になったものと思われる。
機械化が遅れている製麺業界を市場として狙ったこと、また中小〜零細業者でも導入可能な価格設定を考えて、省スペース・縦型というコンセプトの麺切断機を研究・開発したことが、成果につながっている。
各委員は、機械加工や電子・電気について高度な知識・技術を有していたことも、要因としては大きい。

【12】所見

組合が取り組んだものとしては例も少なく、また非常に具体的で内容の充実した融合化事業である。
各自の得意な技術を発揮し、また市場を明確に定めて研究開発に取り組んだことが、成果につながっている。
今後の課題としては、製品としてコーディネートするための全体設計力をつけることである。
個々の部品を作る技術・ノウハウは高いものを有しているので、製品になったときの姿をイメージしながら、各委員の優れた部分を引き出すような、取りまとめ役が育ってくることが望まれる。


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